冬ざれ

・90秒台本

・1人用



本文



憎みあっていないと

息も出来ないのだろうか


隣あっているのに

ひと目見ることも

叶わないのだろうか


この水晶のような

痛みが無ければ

生きていると

分からないだけ


その残響のような

愛しさがなければ

死んでいると

分からないだけ


風を泳いで

空を掻く


花を悼んで

雨を数える


灰の降る街に

傘を忘れて

嘘を願えば


春凪を待つ


いつになろうとも

どこかへ過ぎ去ろうとも


君を待たず

ここにひとり

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